よく、長期優良住宅ってなんですか?と聞かれることがあるので、
今回は分かりやすくまとめてみたいと思います。
長期優良住宅とは、
簡単にまとめると「建てた世代・そして次の世代から先も安心して快適に過ごせる良質な家ですよ。」と国が作った基準をクリアして行政に認めてもらえたしっかりとしたお家の事です。
良いモノを長く使用しましょう。スクラップ&ビルトを脱却、の意味合いですね。
具体的にその基準には耐震性や断熱性、メンテナンス性やバリアフリー性等が定められていて、
これらを全てクリアして行政からお墨付きをもらうことで、税優遇や金利優遇が受けれるようになります。
なので、メリットが沢山あります。
いい機会なので金額でどれくらいメリットがあるか出してみましょう。
まず認定には、行政の認定手数料と審査手数料で概ね¥6万位かかります。
そして、耐震性や断熱性能・メンテナンス性等向上にかかる費用はよっぽど粗悪な住宅でない限り、
大概標準仕様でいけますが、これは業者によりますね…
正直、耐震性の検討で梁の太さや金物が増える・審査検討書作成位で、金額的な増額は多くて¥20万位ですかね。
次に、優遇面です。
まず、
・住宅ローンが控除されます。(所得が2000万以上の方は適用不可)
13年の間、住宅ローン残高の0.7%が、所得税から控除されます。
また住宅ローンの控除対象借入限度額が、普通の住宅が3,000万円までであるのに対し、
長期優良住宅は5,000万円までの借入上限となりますので、適用金額が増えますね。
仮に上限まで住宅ローンを借りて、それぞれ10年間で返済した場合、最大で控除額が182万円ほどの差になりますが、実際、年収500万以上で借入を4,000万以上する方でないと、普通の住宅と控除額は変わりませんので、微妙な所です。
次に、
・不動産取得税が減税されます。
不動産を購入すると、不動産取得税が掛かりますがその費用が普通の住宅より多くなります。
普通の住宅の控除額は1,200万円までとなりますが、長期優良住宅の場合1,300万円となります。
では、具体的にいくら減税されるか仮に計算してみましょう。
不動産取得税は固定資産税評価額により変わってきます。
例えば…評価額が3,000万円だったとして計算すると
普通の住宅は…不動産取得税=(3,000-1,200)×3%=54万円
長期優良住宅は…不動産取得税=(3,000-1,300)×3%=51万円
見ての通り、不動産取得税だけで3万円も節税できます。
次に、
・登録免許税の税率が優遇されます。
不動産を購入すると、所有権保存登記や所有権移転登記といった登記の際に税金がかかります。
司法書士さんが主に仕事をしますが、その税率が下がります。
普通の住宅だと、所有権保存登記が0.15%で所有権移転登記0.3%です。
長期優良住宅だと所有権保存登記が0.1%、所有権移転登記が0.2%と減税措置を受けられます。
こちらも、固定資産税評価額により変わってきます。
例えば…評価額が3,000万円だったとして、計算してみましょう。
普通の住宅は…所有権保存登記時は3,000万円×0.15%=4万5,000円
所有権移転登記時は3,000万円×0.3%=9万円
長期優良住宅は…所有権保存登記時は3,000万円×0.1%=3万円
所有権移転登記時は3,000万円×0.2%=6万円
合計で、登録免許税を4.5万円も節税出来ます。
そして、
・固定資産税の減税期間が延長されます。
不動産を購入すると、読んで字のごとく固定された資産を所有することになります。
その資産の評価・価値は各行政が実際に物件を調査し決めますが、
概ね建築工事請負額の60%位の金額が相場です。
そして評価に対し税率が適用されます。
例えば…住宅にかかる固定資産税をシュミレーションしてみましょう。
実際には土地評価額も掛かったり、住宅の評価により上下ありますが、それは今回除きます。
家の評価額が3,000万円だったとしましょう。
固定資産税額=3,000万×1.4%(標準税率)×1/2(新築住宅の減税措置)
=21万円/年
この2分の1に減税される期間が、長期優良住宅は延長されます。普通は3年間ですが、長期優良住宅の場合、5年間となりますので、+2年間、つまり固定資産税を42万円も節税が出来ます。
こちらは実際には適用規定が色々ありますが、概ね普通の住宅ならクリアしていますので省きます。
次に、
・地震保険割引が適用できる。
長期優良住宅は、耐震等級2以上が必須条件なので、伴って保険割引が適用できます。
保険料は耐震等級3を取得することで、50%割引となります。
最後に、
・建物資産価値が上がるので、売却時に有利。
万が一お家を手放すことになった時、長期優良住宅を取得していると資産価値が下がりにくいので
売却金額が違ってきます。
これもメリットかと思います。
唯一デメリットとして、長期優良住宅は入居後に定期的な点検が必要となります。
長期優良住宅は予め行政に「維持保全の計画」と毎年のメンテナンス積立金計画を
申請時に提出します。
そこから必要に応じて外壁の修繕したり、配管の維持保全を行う約束をするわけですね。
万が一怠った場合は、認定を取り消されることもありますが、これらは快適と安全を維持するためのメンテナンスであるので、ただのランニングコストと捉えていいでしょう。
こうした感じで、長期優良住宅を取得するだけで、
控除を除き税金だけ概ね50万円近く節税できるので
認定に掛ける費用が仮に¥20万前後だと考えると、大きく節税になりますから、おススメです。
普通に考えると何十万の節税って、かなり大きいですよね。
他にも、認定を取得するタイミングで、国が補助金を出している場合は適用できる場合が多いので、
補助金が取れるかも確認した方が良いですね。
時として法律は数年後変化し、当時はOKだったとしても改正が起きることで数年後は不適合になってしまう事もあります。
10年前はOKだった断熱性・耐震性。10年後は不適合になっているかもしれません。
今の法基準を上回る長期優良住宅認定を受けていることで、数年後もし法改正があったとしても、
その時に不適合建物にはならず、大きく資産価値が下がるリスクも少ない。
将来の安心要因の為にも、取得する方が良いと思います。
ぼそぼそ